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その4「客を意識してはいけない」のつづき。

 ・対談 「上方芸人気質」 藤本義一・笑福亭松鶴 その5「芸は客が評価する」

昭和50年代に<実業之日本社>から発売された落語レコードのシリーズ「六代目笑福亭松鶴」のライナーノーツに藤本義一先生と六代目松鶴師匠の対談が収録されていました。

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芸は客が評価する

 藤本 噺というのは、テープレコーダーと違いますさかいに、毎回違うとこ出てくるでしょう。
 松鶴 ええ、ありますね。
 藤本 これはどういうことですかな。たとえば師匠の「鴻池の犬」ね、どこが違うのか、ぼくにはわからぬのですね、いうてはることが短うなったり、長うなったりしてますな。
 松鶴 ありまんな、そういうとこは。
 藤本 これは芸に乗っているわけですか。乗っているのか、省略しよるのか、何でしょうな。
 松鶴 省略しているわけやないんだっけどね。わたしの噺ちゅうのは、わりに他の人みたいにきちっとやれしまへんわな。初め覚えるときにはきっちり覚えてて、いろいろ変えますわね。そやさかいに同じことを・。
 藤本 たとえば気分というか・・・。
 松鶴 省略やなしに、前に言うた同じ意味のことは簡単に、「どないや」「ああ、ああ、そうかいな」とこれで済ましてしまう場合とがあるわけです。ここのとこ何べんもやりとりして、お客さんにわかりやすゥに喋る場合と、ようわかるお客さんやったら、「ああ、そうかいなァ」ちゅうて、片一方受けるほうだけで喋ってしまう場合と・・・。
 藤本 そうすると、これがオレの芸やなァと気づくのは、それは自分の評価か、あるいは客の方がそういう評価をするものか。
 松鶴 自分では評価できるもんやおまへんな。お客さんの方が評価してくれはるんで。
 藤本 それも一人、二人の批評家が評価してくれるもんじやないでしょう。
 松鶴 わたしは批評家の先生に悪いのですが、あの人らは自分だけの事を言うてはると思ってますさかいに、ちょっとも苦にしまへん。
 藤本 たとえば批評家が嫁はんと喧嘩したあと寄席へやってきた。もう離婚しようかといろいろ考えながら師匠の噺聞いてると、自分の範囲で書きますわな、どうも六代目は食いたりないとか・・・。
 松鶴 荒いとかね。もうずっと書かれてますさかいに、何ともおまへん。
 藤本 初めは癪にさわりましたやろ。
 松鶴 初めの間は反抗しましたな。
 藤本 ほめられたら、よろしいやろ。
 松鶴 ほめられたら、また尻こそばいもんだ。あの噺、これはほめられる噺やないぜと思いまんな。
 藤本 ぼくらは小説書いてて、ほめた人は、この人ええ人やなと思うね。しかし、その日の客層によりますな。
 松鶴 ええ、やっぱしそれはありまんな。
 藤本 そうなると、いろいろ知ってはる人と、いまの若い人が聞きに来るのとやったら、地名なんかも変えないといかぬですな。そういうときは客の顔を見てからですか。
 松鶴 顔見てからというより、やっぱしその日その日のお客さんが違うのんわかってますさかいに、別に地名は変えぬでも、ええと思いまんな。研究会みたいな場合は、後でわからんところがあったら、質問しておくれやすちゅうて初めに断わっておいてーー。この間、日本全国のお坊さんの研修会ヘ行きましてね、その時に初めにマクラで、「わからぬところがぎょうさんあるやろと思います。まして南は九州のはてから、北は青森、北海道から来てはりますさかいに、大阪の言葉はわからぬ人おますやろけど、大阪弁でしゃべら喋らしてもらいます」。天王寺さんの本坊でやりましたんで、「天王寺詣り」をやったんだ。やっぱし無下性やとか、わからぬ言葉を、みな後で質問しやはりましたけどね。
 藤本 坊さんのほうが・:・:。
 松鶴 ええ、無下性なんてわかりそうな、これは坊さんの言葉やなんけどね。

その6「落語家の敵」につづく。

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収録内容詳細はじゃぽ音っと】作品情報:六代目 笑福亭松鶴 上方はなし(14枚組)

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六代目 笑福亭松鶴 (雑誌)
収録音源は『猫の災難』『三十石』『天王寺詣り』

↑ビクターのスタジオ音源のようです。
・・・と思っていたら、「全席初出し音源」と書いてありますね。機会があったら確認してみます。



↓こちらも「上方はなし」からのセレクト。


六代目 笑福亭松鶴 セレクト1
ディスク:1 高津の富、天王寺詣り
ディスク:2 貧乏花見、蛸芝居


六代目 笑福亭松鶴 セレクト2
ディスク:1 らくだ、ちょうず廻し
ディスク:2 饅頭こわい、遊山船
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