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・対談 「上方芸人気質」 藤本義一・笑福亭松鶴 その1 「けったいな人たち 」

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昭和50年代に<実業之日本社>から発売された落語レコードのシリーズ「六代目笑福亭松鶴」のライナーノーツに藤本義一先生と六代目松鶴師匠の対談が収録されていました。

けったいな人たち

 藤本 「けったいな人」と大阪弁でいうような芸人さん、どんな人いてはりますか。
 松鶴 そうでんな、わたしらが知ってからで、噺家でけったいな人ちゅうたら、円枝師匠、それから扇枝師匠ちゅうのもいやはりましたな。そやけど、ほとんどみな変わってはりましたな。
 藤本 六代目(現松鶴)あたりが一番まともですか。
 松鶴 まあ、わたしなんか一番常職人でんな。この間亡くなった円都師匠が、「よう考えてみい、噺家で偉い人になってんの、みな変わっとおるで。大阪の噺家これだけおって、いろいろな変わり型の集まりやけど、その中で一番わしが常職人や」いうてはった。この円都師匠が変わってはりましたさかいにね。初めは聚落館(しゅうらくかん)ちゅうあだ名がついてた。うまいことみなあだ名つけはりました。神戸の聚落館が真っ四角の現代建築でね、ちょうど新開地の角にある。角がとれぬちゅうので、聚落館やちゅうあだ名がついた。それから歳いきはってから幾分か丸みが出てから、下駄ちゅうあだ名になった。角が少し丸くなったんでんな。
 円馬師匠なんかも、「おれが一番まともな人間や」いうてはったんやけどね、まともやおまへんわ。朝七時ぐらいから麻雀を打ちに来はる。たいてい噺家ちゅうたら、朝寝するもんだ。それが、朝七時ぐらいから「おはようさん」ちゅうてはいってきはってね、すぐに麻雀の台の前へすわりはるくらい変わってはりましたからね。この人がやっぱしあだ名つけるのがうもォて、九里丸先生に”ひきうす”ちゅうあだ名をつけばった。何でひきうすちゅうたらね……
 藤本 頭の格好が……
 松鶴 違いまんねん。上がまわって、下がまわらぬ。頭は非常にええけど、舌がちょっとまわらない。噺家らしいあだ名でっしやろ。
 藤本 そうですな。九里丸さんの場合、漫談にはいるのですね。昭和三十何年ににくなったんですかな。ぼく、最後の舞台見た覚えありますからな。
 松鶴 中座の引退興行ね。
 藤本 戦後ではだれですか。
 松鶴 戦後変わってはった人は、いまの米朝の師匠の米団治師匠、この人、麻雀打ちかけると、もう夢中になってね、火のついたタバコ、懐に入れたり、たもとに入れてはるんだ、テン牌になると、すぐにわかるんだ。いまみたいにリーチかけまへんやろ。あの人が火のついたタバコを懐に入れたり、たもとに入れはったら、「ああ、テン牌やな」ちゅうことがすぐわかる。もちろん火がついているさかい、熱うなってきますわね。たいてい気がついて出すもんだっけどな、熱うなってきたら、ポンポンとたたいておきはるんだ。そやから、あの人の長じゅばんの中はたいそう穴だらけですわ。紋付のたもとなんか半分焼けていて、おまへんわ。これはもう思い切り変わってはりましたな。
 藤本 師匠かて、二種類の薬を交互にやっていましたやろ。片一方は覚めるやつで、片一方は寝るやつ、そんなら、飲まなかったらよろしいのに。
 松鶴 さあ、そこらがおかしいんだなア。そやから、よう言うたんだ、神経が「どっちにすんねん、寝んのかい、起きんのんかい」とぼやきよるのやかいなアと。
 藤本 何でそんなことしまんのん。何で寝させたり、起こしたりします、神経を。
 松鶴 結局、寝えしまへんのやなア。夜寝んのんが嫌だしたんやな。これは落語の人やおまへんけどね、ある漫才のお帥匠はんがね、人生まるっきり起きてても五十年しかないんやし、いままで寝てきたんやから、もう五十過ぎたら寝ないんだちゅうてね、人前では絶対寝はりまへん。夜中に会うても起きてはる人だした。昼間眠とうなってきたら、「ちょっとパチンコしてくる」か何かいうてね、パチンコ屋へ行ってね、パチンコの台の前で立って寝てはるんだ、ひとりで。寝てるとこ見ら
れるの、恥ずかしい言うてね。
 藤本 どのくらいまで生きはりました、寝んと。
 松鶴 七十幾つまで生きてはりましたぜ。
 藤本 五十から……。
 松鶴 ええ、寝はれしまへん。
 藤本 どっかで寝てはるのやろ。
 松鶴 そりやあ、どこぞで寝なあきまへん。わたしもいっぺん、ダーツと寝てしもた姿を見られたんだ。それからはもうわたし、その人のとこに行っても夜通し寝えしまへん。向こうでその夫婦が寝ていたら、枕もとに座って、じいっと二人の寝顔を見て、朝まで起きてるわけだ。

その2「落語家は死なない」につづく。

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ところでこのレコード。収録内容はビクターより発売されていた「上方はなし」からのものでした。
これらの音源も近年めでたくまとまってCD化されました。



収録内容詳細はじゃぽ音っと】作品情報:六代目 笑福亭松鶴 上方はなし(14枚組)

お手軽入手はこちら↓


CDつきマガジン 隔週刊 落語 昭和の名人 決定版 全26巻(19)
六代目 笑福亭松鶴 (雑誌)
収録音源は『猫の災難』『三十石』『天王寺詣り』

↑ビクターのスタジオ音源のようです。
・・・と思っていたら、「全席初出し音源」と書いてありますね。機会があったら確認してみます。



↓こちらも「上方はなし」からのセレクト。


六代目 笑福亭松鶴 セレクト1
ディスク:1 高津の富、天王寺詣り
ディスク:2 貧乏花見、蛸芝居


六代目 笑福亭松鶴 セレクト2
ディスク:1 らくだ、ちょうず廻し
ディスク:2 饅頭こわい、遊山船
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